まぎかる゜火葬場

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『トロピカル~ジュ!プリキュア』のローラへのお気持ち表明になってしまった文章

これを書いてるのは、2021年6月19日(土)の夜。はい、そうです。プリキュア放送の前夜ですね。超ギリギリで書いてる。

いやだから何?って言われるんだろうけど、どうしても書いておきたかった。そう、6月20日(日)放送の『トロピカル~ジュ!プリキュア』は、いよいよローラが追加戦士としてキュアラメールに変身する。俺はこの日までに胃をキリキリさせながら過ごしてきた。なので、記事の時系列は6月20日の放送前だと認識していただきたい。

キュアラメールがそんな大事か?と言われると、本来ならそんな騒ぐことじゃないのかもしれないけど、やっぱり俺にとっては大事なことで、そしてこれは20日の放送を見た後に、俺の中の世界が急変してしまうだろうから、こうブログにして残す。

リアタイ中の初心を忘れたくない。俺がリアタイ中で感じたことを忘れないために、ここに記す。

 

まず、こんな記事開いてる人には最早説明不要だろうから、ローラがどういうキャラなのかというのは書かない。知らない場合は各自で調べていただく感じになるだろう。一応、情報量的にも良い感じに読みやすいニコニコ大百科の記事を貼る。

dic.nicovideo.jp

 

さて、本題はズバリ、これまで俺がローラに感じてきたアレコレやキュアラメールに変身する彼女の今後だ。これを文章として出力すること自体、中々恥ずかしさは一応あるのだが、やっぱり書く。そう、これはお気持ち表明、そして遺言。

実を言うと、ローラがプリキュアになることを俺は喜ばしく思っていない。キュアラメールに脚が生えている(というより人間になる)のも、心底ショックを受けてしまった。

 

「え~ネガキャン記事かよ、じゃあ読まんわ」と思ったそこの君!ごめん、待って…。違うんだ…俺はローラのことが大好きで大好きでしょうがないから、これを書いてるんだ…。そして、この記事は最終的にそんなローラに寄り添おうと努力する記事なんだ…。嘘じゃない本当。本当か?

 

で、ですね…ただ、プリキュアに変身するのと、人間になるのは本来は全く別のトピックだったので、まずはここを切り分けて書きたい。

 

キュアラメールへの変身

ローラというキャラクターがプリキュアシリーズにおいて、一体何が特異だったのか。まずはこれを説明する必要があるだろう。

プリキュアシリーズにおいて、いわゆる表に出てくる「枠」としてメインとされるキャラクターは"必ず"、人数の差異はあれど以下のパターンになっていた。

プリキュア(人間チーム)+妖精ポジションの非人間キャラ
プリキュア(人間・非人間の混合チーム)+妖精ポジションの非人間キャラ

 

俺がシリーズを見始めたのはスマプリからなので、もしかしたら違うかもしれないが、とりあえずそれ以前の作品に関しても自分の認識してる範囲でほぼ相違はないはずだ。違ったらごめんマジで。

 

なお、ドキプリのアイちゃんや、まほプリのはーちゃん(バブバブ期~キラキラ期)、ハグプリのはぐたんなどは、その見た目や設定から解釈次第では人間キャラと取れることもあるが、立ち位置の話なのでここでは妖精ポジションの非人間キャラとして扱う。

 

そういった妖精ポジションのキャラがプリキュアに変身するパターンは多くあるが、重要なのはいずれも人間としての姿を(最終的に)同時に持っており、その人間ベースで変身する点。キュアモフルンは一段飛ばしてるので特殊だが、どちらにせよプリキュアの姿のベースがほぼ人間である点は同じである。

 

そして、妖精以外でも設定上は人間ではないプリキュアがいるが、ハグプリのルールーや、スタプリのララとユニ、ヒープリのアスミのようにいずれも見た目自体は人間とほぼ変わらないというところは、これまでのシリーズで一切崩さなかった部分であった。ユニはすげえ特殊だし、獣耳普通に生えてるのでちょっとここから外れるパターンかもしれないが…。

 

プリキュアシリーズのメインターゲットは人間の小さな女の子たちである。憧れの対象となるプリキュアが人間の姿から離れすぎると、女の子たちにどう思われるかは定かではないが、少なくともなりきり遊び的な部分で弊害が出てくるのは間違いないだろう。

あんなにぬいぐるみであることが物語上で重要だったモフルンですら、プリキュアになると人間ベースの姿になるのだ。*1どうしても超えられない壁というのはあるのだろう。

 

そこで俺が衝撃を受けたのが、まさにトロプリのローラであった。

そう、人魚である彼女はメインキャラクターにも関わらず、プリキュア・妖精ポジションいずれにも属さない形で登場したキャラだったのだ。妖精ポジションはくるるんで、そのくるるんは何もしないので、従来の妖精ポジションがしていた役割(メンバー変身のきっかけ・戦闘サポート)はローラになってはしまっているのだが…。

 

公式の商品展開でも、ローラは妖精ポジションではなく、従来はプリキュアしかいなかった枠に収まっているという異例で破格の扱い。

なので、トロプリは

プリキュア(人間チーム)+妖精ポジションの非人間キャラ+ローラ

という今までになかったパターンになっており、これが中々衝撃的だった。

 

まず、ローラにプリキュアになって欲しくなかったという理由の一つとして、シリーズにおけるこの開拓が好きで、それを貫き通して欲しかったという点がある。

 

次にやはり、プリキュアが戦闘中のローラの活躍もあるだろうか。

プリキュアとして戦わない(戦えない)代わりに、ローラは「やる気カムバック!」という形でサポートとして参加していた。プリキュア以外のキャラ(ほぼ妖精)がサポートとして戦闘に参加すること自体は何の珍しくもないのだが、トロプリという作品においては俺はそこは違うと思っている。

サマーとフラミンゴが切り込み隊長としてアタッカーをこなし、コーラルは盾役、パパイアは作戦の発案や敵の撹乱…といった感じに、トロプリメンバーは戦闘中の役割がこれまでと比べて明確化されており、ローラのやる気を取り戻す役割とともにチームで一体且つ分担しまくってる部分が魅力的なのだ。

そして、ローラ自身も落としたアクアポットを取りに行く、まなつ達に信じられて送り出される、まなつ達を信じて送り出すといった直接の戦闘外でのドラマがこれまでに描かれてきた。

 

つまり、ローラはプリキュアにならなくても、プリキュアと同等の活躍とドラマをこれまで見せてきており、俺はそこを非常に魅力に感じていたわけなので、彼女のプリキュア化自体、ましてや後述の脚が生えること自体が彼女のキャラクター的には"蛇足"にならないか(上手いこと言ったつもり)、という懸念を抱いてしまったわけである。

 

知らない人には申し訳ないが、プリキュアシリーズでは過去に『Go!プリンセスプリキュア』に登場する七瀬ゆいが、似た方向性で心を揺さぶる物語を見せてくれたというのも、ますますローラにはプリキュアとは違うポジションで活躍して欲しい気持ちに拍車をかけていただろう。

この七瀬ゆいはレギュラーキャラクターでプリキュア達をサポートするし物語的にも重要なキャラで、放送時は追加戦士になる予想もあった。が、彼女は結局、最後までプリキュアにはならず一般人の立場のままだったのだが、戦闘に直接参加できない一般人だからこその独自で強いドラマを展開し、作品テーマを補強したという功績を残したのだ。

 

プリキュアや妖精に属さないキャラクターでも、それらと同等の活躍をする。それが非常に好きだったから、ローラに対してもそれを求めてしまった、というのは否めない。

 

しかし、あーだこーだ言っても、実のところわりと早い段階で「ローラが追加戦士になるんやろうな…」というのは薄々気づいていた。気づいていたというか、プリキュアシリーズ的には、例年通り追加戦士を登場させるならどう考えてもそのポジションはローラ以外ほぼありえないだろうな、とは思っていた。

 

メンバー4人がやっと揃い、初めての同時変身→戦闘を行った回では、やる気を人々から奪っていないヤラネーダが登場し、ローラが自身のなくなった役割に不満を漏らすシーンがある。…まぁ、どう考えても少なくともローラが戦闘において何かしら役割がいずれ変わることを示唆してるよなぁ…。

 

6月以降の商品展開におけるローラの扱いも意味深だ。今まで集合絵などでは、プリキュア姿の4人+人魚のローラがほとんどだったのだが、4人が単独でイラストが公開されているのに、未公開部分がある状態でローラがいるはずの集合絵が隠されているパターンもあった。…まぁ、どう考えてもローラのビジュアルに何か変化が訪れるんだよなぁ…。

 

極めつけは追加戦士発表の時期に近づいたタイミングで、露骨に本編でローラメイン回が立て続けに来たことだ。追加戦士が仮に生徒会長など他の可能性があるキャラだった場合、ここでローラの物語を深堀りしまくるのは不自然なので…まぁ、どう考えてもローラがプリキュアになる流れだな!と覚悟は決まっていた感はある。トロプリは『仮面ライダーオーズ/OOO』ではない。それはわかっていた。

 

正直、それまでのドラマもなしにいきなり出てきた新キャラが追加戦士になるよりかは、既に愛着を持ったキャラが追加戦士になった方がドラマ的には盛り上がるし、俺もその方が好みだ。メインターゲットの女児もその方が喜ぶだろうか。

ローラのプリキュア化に関してだけは、これまでにあったローラの魅力を失うことにならなければ、これはもうスッパリ諦められるので、もうここは百歩譲って受け入れる姿勢でいた。姿勢でいたのだが…。

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だが奴は…弾けた

さて、人間化の話。

俺が何故ローラにそこまでゾッコンなのか。書こうとすると、どう考えてもキモくなりそうなのだが、必要なのでちゃんと書こう。

 

・味方ポジション、それもプリキュアシリーズのキャラでありながら、プリキュアになる人間を臆面もなく駒として見ている図太さ
・でも第1話早々に人間を助けようとしちゃうところ
・ムカつくぐらい高飛車なはずなのに謎に不快感がない不思議さ
・裏表があまりにもなく、言いたいことをスッパリ言ってしまうが、それでさんごやみのりを救えてしまうカリスマ性
・こういったキャラにありがちな「ポンコツさ」が意外となく、普通にサポートやその他能力が有能
・人魚である自身や美貌を滅茶苦茶誇りに持っており、しかも尾ヒレを触らせてくれる(俺も触りたい)
・人魚の存在自体も誇りを持っているので、人魚姫といった間違った伝承にキレる
・それなのに、まなつ達との関わりを通して成長し、泥にまみれることを選択したり、プリキュア達のため表情を歪めながらも人魚の存在を否定したことがある

 

あぁ、かわいい。書いてて思うけど、やっぱ良いんですよローラ…。おもしれー女…。

もちろん、このローラという魅力的なキャラを引き出したのは、他でもない他メンバーや、胡散臭さがなくリアルな交流を一貫して重視する作品テイストによるもの。なんというか、仲間内でもやり取りにお互いの配慮がない感じが新鮮で良いよねトロプリ。

 

そんなトロプリだが、第11話のサンドアート回からローラの心情描写に明確な変化が訪れる。そう、トロピカる部の活動に対してだ。

 

人魚であるためか、アクアポットに籠もりっきりでその姿を仲間以外に見せることができないローラ。それは即ち、トロピカる部の活動にも参加できないということだ。

今まではグランオーシャンの女王になるという野望や、プリキュア集めにこだわり、部活動に興味を示さなかったローラだが、このサンドアート回では楽しそうにするまなつ達、そしてその楽しさを部分的に自分へ共有しようとするまなつ(当然本人は善意)を見て、複雑な表情を見せていた。

「退屈だから(本当に退屈だったんだろう)」という理由で、隠れながらまなつ達をシャボンピクチャーで撮影するという自分からの動きを新たに見せたのもこの回だし、その撮影したシャボンピクチャーが事態の解決になったということもあり、ここでローラがまなつ達との時間共有に大きく"脚を踏み入れる"ことになったのは間違いない。

極めつけは、まなつの「これからはローラが参加できるような活動を探していくね」という何気ない一言に対して見せるあの複雑そうな反応。

 

ちなみに先に言っておきたいが、俺はローラはいわゆる「ツンデレ*2」ではないと考えている。

ローラの魅力として上述した通り、彼女は裏表なく言いたいことを言ってしまうし、表情や反応も特に隠さず見せてくれるキャラだ。でないと、第10話ラストのまなつとローラのやり取り(抱擁含む)は絶対成立しない。滅茶苦茶、素直な子なのだ。

しかし、今まで単純なことは素直に吐き出してきたからこそ、ローラはそこから外れる自分の感情の処理の仕方がわかっていないのかもしれない。部活動という未知の存在、自分の野望のために半ば巻き込んだまなつ達が自分に向けてくれる優しさという未知の体験は、彼女の心にたくさんの感情を並立させてしまった。

自分の感情を認めたくないというよりは、その未体験の感情が一体何なのか、どう処理するのが最良となるのか、それがあまりわかっていなく、複雑な表情などに繋がっていると俺は考える。

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話を戻すと、ローラには人間になって欲しくないという俺の心情は簡単に先述したが、その理由は以下の通り。

 

・シリーズにおいて人間化自体がマンネリ気味なので、プリキュア化するにしても人魚の最大の特徴である下半身の魚部分は残して欲しい(人外プリキュアが結局人間の姿ベースになってしまう慣例を打破して欲しい)
・単純に人魚のビジュアルが可愛いし完成形だと思っている
・自身が人魚であることを高飛車に見せつけてくるのが可愛いし好き

 

この時点では、俺はそこまで独善的な要求だとは考えてなかった。何よりローラ自身が人魚である自身を誇りにしてるし、作品としてもそれが悪かのようには一切描いていない。ローラがまなつ達と一緒に活動を楽しめないものの、あのローラのキャラを尊重するなら、脚が生えそれに喜んだ場合は「解釈違い」になることは必至なのだ。

しかし、ローラがまなつ達と同じ楽しさを体験できないというのは、それは悲しすぎるしトロプリの番組カラー的にも放置するのはありえないので「どうするんだ…?」と非常に悩んだことは記憶に新しい。

ちなみに勘違いされそうなので先に言っておくと、俺は人外フェチとかではない。これはフリじゃなくて本当。

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「ローラに脚生えちゃうんじゃないか…?」と俺にとって不穏な展開だった第11話のサンドアート回だったが、第12話~第14話は一変。俺の懸念を晴らすような展開が続くことに。

 

そう、ローラが立ち、歩行することに成功したのだ。しかも人魚の姿のままで。

下半身を何とか衣装で隠し、尾ヒレを無理矢理、靴にねじ込むことで人間に擬態。流れではあったが、今まで不可能だった仲間以外の人間との交流も行い、最終的にまなつ達もローラの存在が公になることを受け入れ、まなつの公約以上に、積極的な活動への参加がなされることとなった。

 

あまりにもストロングなスタイルで驚いてしまったが、ローラが人魚の姿のままで活動に参加できるので、本人にとってもそれを見る俺にとっても願ったり叶ったりの展開…!

仲間もそんなローラを尊重したままだし、ローラ自身もそのままはキツイのかピョンピョン跳ねながらだが楽しそうにしている。最初は部活動に興味がなかったあのローラが苦労しながらも活動に積極的に参加しようとする様子が愛らしいのもあるし、重要なのはそれが肯定的に描かれているところだった。

それにローラが求めているのは、まなつ達とやりたいことをやる、楽しむといった部分であって、人間になること自体ではないというのが示されたと言っていいだろう。

 

そして第15話の予告!

www.youtube.com

 

な、なるほど~~~~~!!!!入れ替わり回~~~~その手があったか~~~~~!!!!!これで一時的にでも「ローラの人間化」を実現させてあげるわけですね~~~~~????うんうん、わかるよ~~~~!!!!ガハハ!!!これでローラの恒常的な人間化はないな!!!!展開が明らかに俺の見たい物に傾きまくってるからな~~~~!!!!ローラも良い仲間に巡り会えて本当に良かったよな…うんうん。

 

 

 

 

 

~数日後~

 

ゴブァッッッッッ!!!!!!!!(吐血)

 

シリーズ的にやはり避けられない宿命だった

ど、どうして…どうしてこれまでの展開からそうなるんですか…?

時事報道の仕事なのでサブカルチャー系のニュースもチェックしにいかないといけないのだが、真っ先に目に飛び込んできて一気に目が覚めてしまった。どうして…。

史上初の人魚のプリキュアじゃねえんじゃい!!!!!!!思いっきり生やしとるやろが!!!!?????

 

いやですね、この際プリキュア化すること自体は覚悟してたし、まぁ先述した通り、百歩譲って受け入れるんですよ。ただ言いましたよね。ローラの魅力を損なう形でなければ、と…。しかしキュアラメールはあろうことか、まさに滅茶苦茶「脚」を強調するデザインで来てしまったので、頭が真っ白になってしまった。急落下、これは急落下。

 

だが俺は冷静にならないといけない。ローラだぞ。ちゃんと向き合うんだ。冷静になれ。なれてねえよコイツ。

まぁそのアレだ…。もちろん、キュアモフルンと同じで、メインターゲット的にも制約みたいなところを跳ね除けてでも人間にしないといけないってのはわかる。今回も結局それに則った形だろう。

あとアレだ。人魚ベースの姿で戦っても良いだろうし、アプローチ的には「キュアミラクル&キュアマジカル サファイアスタイル」的な「空中を泳ぐ」みたいなことも可能なんでしょうけど、それがデフォのプリキュアとなると後年の映画など含めたCGダンスなどで滅茶苦茶不都合が出てきてしまうので…やはりどうしても人間ベースにしないといけない…ってところか…?いや当てずっぽうですけどね…?

 

となると、みのりとの入れ替わり回も意味が明らかに変わってくるし、実際にその通りだった。ローラに人間になると何ができるのか、どこまでできるようになるのかをわからせる目的。そして「私は私自身のままが良い」と言いながらも、複雑な表情で自身の下半身を見つめるローラのカットがラストに挟まる。

 

おわかりだろうか。そう、部活動に混ざりたいという気持ちが芽生えたサンドアート回と同様の展開と演出で、ローラはさらに脚を踏み入れてしまったのである。いや、踏み入れさせられたというべきか…。

そして恐らくローラ自身も自分の感情に困惑している。彼女は別に人魚の姿を嫌ったわけではないし、そんな描写は一切存在しない。変わらず人魚である自分に誇りを持っているし、それを譲る気はない。しかし、それとは別に今度は人間になりたいという今までにない気持ちが芽生えた。人魚ではできなかった体験をしてしまった。もう戻れないのだ。

重要なのは、人魚であり続けたい気持ちと、人間になりたいという気持ちがローラの中で両立してしまっていることであろう。前作『ヒーリングっど♥プリキュア』では、ちゆが「ハイジャンプの高み」と「旅館の女将」どちらに専念するか迷う物語が展開され、最終的に「どちらも取る」という選択が話題となった。しかし、恐らく人魚と人間に関しては二者択一であり、さらにこの時点では人間になること自体が不可能だとローラは考えているはずなのである。

 

何の矛盾もない。ないのだが、やはりそれまでに積み重ねてきたアレコレが一度に、一話という短期間で崩れ去って、俺はローラのことを考えながら寝込んでしまった。

人魚性を誇る自分が好きでそれを堂々としている強いローラが俺は好きだったが、ローラの複雑な心情と迷いを目の当たりにして「ここまで独善的な思想をローラに押し付けていたんだ…俺は…ローラのことを本当に思いやれているのか…?(キモオタ思考)」と、ローラと同じように複雑な心情と迷いを抱えることとなってしまった。

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ローラの絡まった心情を考える

そんなこんなで、遂にキュアラメール登場の前編(第16話)を迎えることになる。

前後篇ともに脚本はトロプリのシリーズ構成を行い、久々の登板となる横谷昌宏さん。

トロプリ序盤最大の見せ場であろうキュアラメール登場にシリーズ構成の方が直接携わるのは、それ程までに積み重ねてきた物が重要で、外せない回だからだろう。

 

事実として、第16話はローラの複雑な心情、そしてローラだけではなくメンバー全員が抱える課題を非常にわかりやすい形で改めて描写していた。アバンで行われたトロピカる部の山登りはまさにそうだ。

いくら歩行を頑張ろうとしても、ローラは人魚の姿のまま、まなつ達と同様の登山をするには無理がある。アクアポットで寝ているローラをまなつ達が起こさなかったのも、ローラに無理な負担をかけないためだろう。

結局、下山時には山の川を泳ぐことで仲間達と山を楽しむローラだが、ここでは通常通り山を降りながら談笑する4人と、それに混ざれないローラの物理的な「距離」「すれ違い」が描かれている。

4人を遠くから見て複雑な表情を滲ませるローラに俺の心はどうしようもなくなってしまった。ローラがまなつら人間とエンジョイしたいというのは間違っていないし、まなつ達がそれを実現させるためにローラに気を遣っているのもそうだ。だが、足りないピースがあって俺はそれに完全に気づくまで時間がかかってしまった。なんて浅はかだったのだろう。

 

人魚のままでも100%参加できる活動(お昼の放送や幼稚園)もあれば、今回の山登りのようにまなつ達がいくら気を遣っても50%に達しない活動もある。これはプリキュアの戦闘でも一緒で、4人の初同時変身回で描かれたようにローラが戦闘に完全に参加できなくなる状況すらあり得る。

ローラはあくまでまなつ達と「全く同じ条件」で仲間の輪に入り楽しみたい、そして自分のせいでまなつ達の活動に制限がかからないようにしたいのか。それを実現させるためには、人間の脚、ローラにとっては仲間であるまなつ達と同じ脚で地に着かないといけないし、プリキュアの力も必要になるということであろう。

 

だが、ローラは人間になることもプリキュアになることも不可能ということを無意識的な側面でも認識している。人魚が人間になる伝承を怒りながら激しく否定したのは他ならぬローラ自身だし、人魚はプリキュアになれないということを仲間に伝え、入れ替わりが戻った際には直様みのりに変身を促したのもローラ自身だ。

不可能とわかりきってることをローラはわざわざ口に出さない。本人らが反省しているようにローラのことをそれ以上知ろうとしなかった仲間達にも非はあり、こうして「埋められない溝」は物理的にも精神的にも広がっていく。

残酷なことに、これらのローラ自身が抱える複雑な心情、欲求などを含めた「埋められない溝」は、ローラ達が絆を深める度にさらに広がってしまう。サンドアート回以降のエピソードは全てこの溝を描写するためだったといえるだろう。いや、それどころかローラが仲間達を完全に信頼する決定打になった第10話のミックストロピカル回から始まっている。なんという緻密な構成。

 

第16話は山登り以外にも、まなつママとの交流を通して、脚がないと楽しめないペディキュアを描いた。キュアラメールのアピールポイントはまさに「ネイル」で、ローラが攫われる前には仲間達と一緒に手のネイルを楽しむ様子もわざわざ描かれている。果たして、キュアラメール変身時にこの点は拾われるのだろうか。またまたその後の終盤のエピソードで回収してくる可能性もある。

 

トロプリにおけるプリキュアへの「変身」とそれに絡む「メイク」は、オシャレのためだけではなく、自身の勇気を奮い立たせ憧れの自分へと変え前に進むという意図がある。いわば、戦化粧だ。

今まで言えなかった複雑な心情を仲間達に打ち明けるのは、ローラにとって勇気を奮い立たせる必要がある行為

仲間達と同じ地に着き、同じ条件で思い出を体験すること自体がローラにとっての憧れ

そして、プリキュアに変身することは自身の心情に決着を付けたローラにとって前に進むことであるのは疑いようがない。

 

手のネイルを仲間達と楽しんだローラは、今度は変身時に足のネイルを強調するのではないかと思う。脚が生えること自体がローラにとっての「メイク」になり、それをプリキュアとして仲間達と共に実行に移す。

そんな展開、もしくは類する展開であれば、俺もローラと一緒に前に進めるのかもしれない。後々後悔するので、あまりハードルは上げたくないのだが、ここまで緻密に丁寧に描写を積み重ねたトロプリスタッフを俺は信じたい。

 

何より、少なくともこれまでのシリーズで一番、人間化への軌跡を丁寧に描いた作品だと思っている。後はもう結末が全てなのだ。

 

迫られる「選択」と「代償」

(2021/06/29追記)
ここからの内容、現時点でほぼ茶番になってしまってるみたいだが、記事の目的上、一応残します。

 

第16話ラストでは、あとまわしの魔女がローラの本心を見抜いた体で、ローラに交渉を持ちかける。

キュアラメールのビジュアルが判明してる以上は、ローラが人間になる選択をするのはほぼ確実だろう。これまでに散々悩み抜き、不可能だと思っていたことに選択肢が突如降りてきたのだ。

しかし、この回では事前にわざわざ、人魚姫で描かれる「代償」についてもみのりから説明があった。ローラが人間になることによって何かしらの代償が発生すると考えるのが自然だろうか。

 

これは現時点(ラメール変身前)ではどうなるのか判断する材料が欠けている。ただ、散々書いてきた通り、ローラは人魚である自分を誇っていることには変わりがない。なので、人間になること自体がローラにとっての大きな代償になるわけで、俺もそれで十分なのではないかと思っているし、現時点では一番納得できる展開だ。

 

問題はその人間化自体は悪性のものであり、ローラやまなつ達がそれに対して一体どういった肯定的なメッセージを放つのか、それが全く予想がつかない。俺は別に魔女由来の悪性のものでも構わないが(仮面ライダーではよくあること!)プリキュアシリーズの作品カラーとしてそこに折り合いが付けられないまま話が進むと納得できないファンもいるのではないかとは勝手に思っている。

 

さらに脚が生えるのはプリキュアの時だけなのか、それとも変身前もなのか。果たして人間と人魚の姿は可逆性なのか。ここは物語的にも非常に重要である。そもそも変身前も脚が生えないと、ローラが抱える問題は一切解決できないからね。

加えるなら…仮にローラがいつでも人魚に戻れるのだとしたら、ローラが今まで悩んできたことは一体なんだったのか、スタッフが積み重ねてきた物とは…?となりやすいし、代償に触れたということもあり、ローラが可哀想だがここはローラの選択を軽い物にしないよう、どうせやるなら徹底的な「不可逆」にして欲しいと思っている。

 

こんなキモい長文を書く時点で俺はローラのことを心底好きになってるんだな、とは思うが、間違いなく「愛」ではないだろう。

俺が思う「愛」とは、相手の幸せを願い、お互い納得できる幸せを追い求めることだと思うので(ポエット!)、この条件を全然満たしていない。全く独りよがりの願望をローラに押し付けているのだ。悲しい。

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選択=一番大事なことをやる = 代償=何かを後回しにする

トロプリのテーマである「いま、一番大事なことをやる」というのは、散々言われてるとは思うが、それってつまり何かを後回しにするってことなんですよね。そう、敵側のテーマと表裏一体。

これは、部活動のために赤点取ったまなつとかもそうだし、ちょくちょく今までも描かれていたことな気がする。

 

今回のローラとまなつ達を取り巻く溝の広がりも、「いま、一番大事なことをやる」にこだわりすぎたが故に、お互いの理解を後回しにしてしまった結果。

ローラが人間になるということは(後日人魚に戻る選択をするのだとしたら)、グランオーシャンの王女になる夢を後回しにし、まなつ達との日々を一番大事なこととして選択する、ということでもあるのではないだろうか。

 

ローラ周りの展開、ハッキリ言ってこんな序盤に仕掛けるとは思わなかったし、こんな早々に俺も悩むことになるとは思わなかった。本来なら終盤やって良い話なのだが、もうここでやってしまうというのもすごい。

 

というわけで、長々となりすぎたが、ここでようやく筆を折ることにする。20日の朝7時ですコケコッコー!なんでコイツ、このテーマで12000字も書いちゃったんだアホか。ちなみに録画見返しながら書いてたんですが、書くだけで涙が出ちゃって俺もうダメだ頼むローラ俺はお前の幸せを極力願うぞ。

実は仕事があるので、キュアラメール登場回はリアタイできない。悲しい。

さらにこの記事を書くためにぶっ続けで不眠してしまったので、ある程度良いコンディションでトロプリを見るためにも仕事が終わったら一回寝てから見ないといけない。

 

なので、多分この記事が読まれてる間にもうみんな「今更すぎる記事…」と思われるだろうが、どうか大目に見て欲しい。

とにかく放送後に変わってしまうであろうローラへの気持ちをちゃんとアーカイブしたかった。それだけなんです。普通するか?

 

ハードル上げすぎだが、とりあえず録画して見るの楽しみにするぞ…!期待値は下げる!下げるんだ!

 

~放送見ました、追記~

スレッドで感想書きました。この直後も色々考察してます。俺が間違ってたローラ。良かったねローラ…。お前が嬉しそうなら俺はそれでいいんだ…。

疑問に残ってる部分、解決していない部分、細かく言えばかなり残っている。残っており、それがキュアラメールへの変身のノリを阻害しているのは否定できないが、今回はまず一番重要なローラの心情部分にフォーカスし、解放させた。ラストの脚を見て感極まるローラと、新EDでまなつ達と踊るローラが全てを語っている。

 

(12475字)


*1:もちろん、あのベースの人間姿はどう見てもみらいなので、みらいと姉妹のように過ごしてきたモフルン的には非常に肯定的な文脈であることは疑いようがない。

*2:これも定義が色々あるのでややこしいのだが…。