まぎかる゜火葬場

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感想『映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』 プリキュアだから描写できる「タイムリープ」の魅力

記事要約

・めっちゃ良かった、泣いた

・女児をメインターゲットにしたプリキュアならではの「タイムリープ物」として完成度が非常に高かった

・ハグプリの扱い方は、もったいなすぎるし残念だった

・『魔法つかいプリキュア!』要素は過剰摂取で死にそうだし、いちごメロンパンで糖尿病になった

 

 

 

 

待ち侘びたぞ…本当に長かった…!ミラクルリープの公開日!!!

プリキュアシリーズ恒例となった「春映画」、公開時期が毎回春なので使ってたこの通称も、遂に使えなくなってしまった。そう、説明するまでもないが、新型コロナウイルスの影響で本映画は当初の春公開から2度の延期を経て、秋の公開になってしまった。

年に2つの映画が公開されるプリキュアシリーズ。本来、秋に公開されるのは現行シリーズの単独映画だったのだが、1個押し出してこちらは来年春の公開という調整に。

つまり、実質的には1本のプリキュア映画がなくなってしまったと考えることもできるだろう。それでも、製作すら疑問視されていたヒープリ単独映画がちゃんと公開されることになったのに感謝ですね。5GoGoが全部持ってっちゃったけど。

以後は「春映画」「秋映画」と呼ばずに「オールスターズ映画」「単独映画」という呼称になっていくのだろうか。紛らわしいので、俺は今後この呼称で行こう。

 

さて、本映画は初報から公開前までにあまりにも気になりすぎる情報が多すぎた。実質一年間これに耐えてたんだよな…。とりあえず簡単に述べてみるが、思いや衝撃とかは後で深堀りする。

まずはなんと言っても副題である「ミラクルリープ」、なんとその名の通り、プリキュアタイムリープ物をやるというではないか。今までのプリキュア映画には間違いなくなかった新しい風だ。

さらに『スター☆トゥインクルプリキュア』と共に登場する『HUGっと!プリキュア』がメインを張るのは恐らく本映画が最後で、ハグプリチームのラストランとなるだろう。*1タイムリープ」が物語の本映画と、「時間」や「未来」が主題のハグプリ、シナジーが良さそうな二つだから本映画ではどうなるかも気になる。あと、ちょうどMXの再放送でハグプリ最終回を見終わった直後というのもあり、期待がかかる。

第13作目『魔法つかいプリキュア!』を愛してやまない俺としては、事前に先出しされた映像も気になる点でたくさん。何故なら『魔法つかいプリキュア!』から長瀬まゆみと勝木かなが出演しているからだ。*2何気に二人は初の銀幕デビュー…。しかもこの二人に留まらず、『魔法つかいプリキュア!』のペラペラ猫(原作ではCV:早見沙織)やいちごメロンパンが登場していることもわかっていた。前作のオールスターズ映画では、MAHOガールズ含む全プリキュアが少しだけ出演していたこともあり、こんなにまほプリ要素をチラつかされてはその…ハチャメチャ大混乱しちゃうよなァ!?

そして、公開が延期になったことで、現在放送中のヒープリ本編との齟齬は一体どうなるのか。特に追加戦士であるキュアアースの存在が気がかりで、内容に変更がなければ本映画には登場しないことになる。我々大人たちは事情をよく理解してるから本映画の時系列がキュアアース登場前だということに疑問を抱くことはないが、子供たちの場合親御さんから説明がなければどう思うかが心配である。いや、子供たちを甘く見すぎだろうか。もしかしたら自分でちゃんと理解して気づいているのかもしれないが…。

 

最後、何より前回の映画から1年も待たされた作品なので、物語が自分の期待に添えるかどうか。正直な気持ち、プリキュア春映画(オールスターズ映画ではなく本当に春に公開されたプリキュア映画のこと)は個人的な打率があまり高くないので、一概の不安は隠しきれなかった。

 

「どうか良い作品でありますように…」と期待と不安を抱えながら映画館へ足を運んだ『映画プリキュアラクルリープ みんなとの不思議な1日』…前置きが長くなったがはてさて…。

 

鑑賞後

えっ?めっちゃおもしろくない?

プリキュア春映画」という括りなら物語は間違いなく一番好きだわ…。新宿でスタッフトーク付き上映会やるらしいから、もう1回観に行くか。

 

鑑賞後(2回目)

ア゛アア゛アア゛アアア゛アア゛゛アアアア゛アア゛ア゛゛アア(号泣)

 

 

はい、というわけでですね。同じプリキュア映画をスクリーンで2回観に行くのは初ですよ。いや、基本的に同じ作品は1回だけ見て終わらせる俺にこれはかなり異例。

ハッキリ言って良かったです。期待通りどころか期待以上の作品でした。まぁもちろん、僕個人の感想なので、他の人からどう映るかはわからないし、あっこれ一部のファンはめっちゃ気にするだろうなという要素もあることはあるんです。後ほど触れますけど。それを含めても、良き作品でした。

あ、以後ネタバレ感想になるので、注意です。「タイムリープ物」という事実自体がネタバレになってる他作品にも触れちゃうので、そこはご容赦いただきたい。

 

キュアアース登場

はい、しっかり子供たちへ向け配慮されてましたね。

もちろんヒープリ的には、物語の時系列はキュアアース登場前なので、キュアアースは結局一切出ないんですが、冒頭のマナー喚起映像だけキュアアースが特別に登場!

「私は今回駆けつけられないのですが、プリキュアたちを応援しています(意訳)」としっかり自身が物語に直接関わらないことをオブラートに伝えていたぞ!

長年、子供たちのことを考えて作品を作り上げてきたスタッフだからというのもあるが、ここら辺の配慮がしっかりできているのは流石だし、安心でしたね。

 

ちなみに恒例のミラクルライトはやはり上映中は振れない感じの注意喚起だった。それに合わせたのか映画内でキャラクターがミラクルライトを使う場面はあるものの、従来のように観客に向けてミラクルライトを振るように促す演出などはなくなっていましたね。スタッフトークだと、公開延期で撮り直したシーンなどもあるみたいなことを言ってたので、多分そこら辺が該当してるのかな。

 

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と思ったら、恐らく撮り直す前と思わしきバージョンが公式で公開されていた。映画館では振れないから、自宅でこれ見て振ってね!ってことなんでしょうね。

 

しかし、新型コロナの猛威は恐らく当分はまだまだ続きそう…。ミラクルライトという方式も新たな形が求められるのかもしれない…。

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プリキュアで「タイムリープ」を描写することの凄さ

タイムリープ」って僕の中では大人向け作品で人気な印象がとても強いし、事実として日本のタイムリープ作品ブーム(?)は、少なくとも子供をメインターゲットにした作品を発にしてるとは思わないんですよね。

タイムリープという概念を国内に広めたのは多分『時をかける少女』だろうけど、現代のサブカルチャーに触れる人にとって馴染み深いのは、やはり社会現象にもなってた『魔法少女まどか☆マギカ』だとか、俺が現行で追ってる作品だと『Re:ゼロから始める異世界生活』で、いずれもやっぱ子供をメインターゲットにした作品ではないと考える。

 

タイムリープ物はすごくおもしろい。主人公視点で、作品世界の行末や、キャラクターが抱える複数の内面が、たくさん描写されているからだ。ループ中に知り得た情報で物語の展開を変えるというのもおもしろいし、これは本映画でも魅力的に描写されてた。

他作品では普通は見れない新鮮な概念。だから我々大人たちはタイムリープ物に熱狂的に心を預けることができる。

しかし、子供たちはどう思うだろうか。「タイムスリップ」するだけなら、子供たちは『ドラえもん』といった作品である程度は見慣れているだろうし、理解もしやすいだろう。だが「タイムリープ」という概念をメインに据えており且つ子供たちにも馴染みが深い作品というのは、少なくとも俺は思いつかない。なので、女児をメインターゲットにした本映画においては、いかに子供たちへその「時間が巻き戻るという新しい概念」を理解させるかが重要になってくるだろう。だからプリキュアで、大人の間で人気であろう「タイムリープ」をメインに据えてやるということ自体がすごいし衝撃的なのだ。

 

では、本映画はしっかり子供たちへタイムリープという概念を理解させられていたのだろうか?この点は「とにかくループの対象となる時間を短くする」「ループ後も全く同じイベントを入れる」で解決していたように思える。

 

物語でループの対象となっているのは、とある1日の朝7時半~正午と僅か4時間半しかない。もちろん映画の尺自体が短いという事情もあるだろうが、他作品なら長めに取るであろうこれを物凄く短くし、劇中で何度も短い間隔での時刻表示演出を取り入れることで、複雑さを排除している。

タイムリープが半日もない中で完結しているのは非常にわかりやすいし、本作に登場するリフレインとミラクルンがそれぞれ「過去を司る精霊」「未来を司る精霊」というありきたりな異名ではなく、あえて「昨日を司る精霊」「明日を司る精霊」とされているのも、そういった意図だろうか。子供たちにとっては「昨日」「今日」「明日」だけを抑えれば良いので、俺はそういった配慮なのかなと勝手に解釈した。

 

そして、劇中・のどか視点で描写される「2回目のループ」では、途中までとにかく1回目と同じ道筋を辿らせている。のどかが起床した直後の転倒イベントが特に完全に一緒なので、子供たちは時間が巻き戻っていることにすぐ気づけるだろう。

これらの点に製作陣が懸念し注力していたのは、スタッフトークの発言からも伺うことができる。

そういえば時間が巻き戻る時は、巨大時計の針が7時半に戻る演出があったような気がする。アレは直接的だからわかりやすいかもね。

 

なので、本映画は子供にとっても大人にとっても、タイムリープという概念を理解するにはうってつけの作品とも言える。俺が上述した他作品のようなタイムリープ物を見たことない方に俺からも是非オススメしたい。

 

プリキュアならではの「タイムリープ

本題です。

何故タイムリープ物をやろうとしたのかは、こちらもスタッフトークで語られていた。プリキュアシリーズは基本的に年2回公開というタイトすぎるスケジュールで映画を製作しなければならないため、マンネリ脱却(ぼくはそこまで思わない)との兼ね合いの逆転の発想でもあるだろう。

それとは別に、巷で有名な他のタイムリープ作品も例に挙げ、俺は本映画で描写された「プリキュアならではのタイムリープの魅力」を語りたい。

 

タイムリープって言っても色々種別はあるわけだが、本映画では決まった時間になると強制的に時間が巻き戻り、特定の条件を満たしたキャラクターだけ記憶を引き継ぐ。ループから脱出するために、周回中に知った既知の情報を元に仲間のプリキュア(ハグプリ&スタプリチーム)の力を最良の状態でかき集めるという方式。

つまり、タイムリープの仕組み自体は『魔法少女まどか☆マギカ』などに近いし、周回中に知った情報で戦力を集めるというのは『Re:ゼロから始める異世界生活』などに近い文脈だ。悪い言い方をしてしまえば、散々使い回された手法であるとも言えてしまう。

挙げた作品はあくまで自分が思いついた例示にすぎないので実際は他にも色々あると思うが(ネタバレを増やしてもしょうがないので挙げない)、本映画は先人のこういったタイムリープ物の文脈も意識して製作されているのは想像に難くない。

では、本映画はそういった作品の文脈にただ便乗しただけの作品と言えるのだろうか。この点、俺は「NO」を突き付けたい。そこには、長い歴史を抱えたプリキュアシリーズ、そして主人公がプリキュア達だからこそ、描写できた独自の「タイムリープ」があるのだと思う。

 

少し話が脱線する。そもそも先人のタイムリープ物は何故おもしろいのか。まずはそこを語らせてくれ。

①主人公(ループ中)が「とある行動A」を取り、キャラクターと仲良くなる

②何らかのよろしくない結末で時間が巻き戻り(あるいは自ら戻し)、主人公とキャラクターとの関係値がリセットされる

③記憶を引き継いでる主人公は二度とその結末を歩まないよう「別の行動B」を取り、キャラクターと仲良くなろうとする

④仲良くなろうとしたキャラクターが主人公にとって受け入れがたい裏を実は抱えていたことが「行動B」によって判明してしまう

どうみてもリゼロです、本当にありがとうございました。

この例はリゼロの常套手段(?)だが、まどマギに登場するマミさんの「みんな死ぬしかないじゃない!」も似たようなもんです。どちらも見ていない人にとってはわからない例になっているのは申し訳ない…。

近年流行りのタイムリープ物では、しばしばこういったシナリオ展開(あくまで一つの例)が使われ、これ自体が作中に登場するキャラクターの内面を多角的に描写しており、それが作品の魅力にも繋がっている。いやもちろんこれ以外にも色々魅力はありますが。

 

さて、今回のプリキュア映画では、この点は全く同じだっただろうか。もちろん違いますよね。リフレインはループ中は最初から最後まで敵対勢力であることを貫いたし、ミラクルンもプリキュア達を裏切るみたいな裏は一切なかった。

同じだったのは③まで…いやあえて②までだったと言いたい。

 

ループに気づく前に、のどか達ヒープリチームが関係を築き上げたキャラクターは誰だったのか。そう、他ならぬ歴戦の先輩プリキュアたちである。彼女たちは、最終的にヒープリチームが巻き込まれた段階で、騒ぎを聞きつけ見返りもなしに戦場に駆けつけてくれた。

 

ループに気づいた後に、のどか達ヒープリチームは先輩プリキュア達に助けを求めたか。いや、最終的には求められなかった。それでも、先輩プリキュア達は前周回の記憶がなくとも、直前に出会ったのどかを気にかけ、同じように戦場に駆けつけてくれた。

 

遂にミラクルンがリフレインに捕らえられてしまい、また始まる時間遡行。その際にミラクルンライトによる記憶の引き継ぎを先輩プリキュア達から任せられるヒープリチームだが、のどかは自分のようなプリキュア(新人)がミラクルンを助ける道に繋げられるのかと、悔しさと不安を吐露する。

それでも先輩プリキュア達は「前の周回の記憶がなくとも、のどか達が想いをそのまま伝えてくれれば必ず駆けつける(意訳)」「自分を信じて」と押し出してくれた。裏表が一切ない先輩プリキュア達。どんなことがあっても必ず駆けつけてくれる先輩プリキュア達。そう、それはヒープリチームも周回中に知ってるし、何より彼女達の活躍をTVで見てきた我々プリキュアファンもよく知っている。こんなに説得力と頼もしさが溢れた励みがあるだろうか。

 

そして最終周回で仲良くならずとも、信じがたい現況を伝えただけで、彼女達はやっぱり戦場に駆けつけてくれた。そうなんです。他のタイムリープ物でよく見られる「仲間だと思ってたキャラクターの裏が判明した」とかじゃなく逆で…「何も判明していない」なんですよね。どんなことが起きても、プリキュア達が持つマインドは不変なんです。むしろそれがループに苦しむのどか達への励みになったし、それが一番勝利に繋がった。

他作品なら、そこは変えて最良の結末に突き進もうとする物が多いでしょう。もちろん本映画も周回中にリフレインがミラクルンを追いかけているという新事実や、最終周回でのどかが校舎の時計に気づき事態解決に繋がるという、他作品でも見られる要素はあったわけですが、それは物語を副次的に構成する1パーツにしか過ぎないわけで。本映画が伝えたかったのは、プリキュア達の変わらぬ信念でしょう。

 

付け加えるなら、ループ中に記憶を引き継ぎ、のどか達ヒープリチームが変えたかった運命はなんだったのか。実はこの「変えたかった運命」も本映画には、そもそも存在しないんですよね。車に轢かれかけた男の子は最初からずっと助けてるし、ミラクルンの囚われはリセットされないので、その事実は変えようがない。

彼女達は運命を変えたかったんじゃなく、純粋にミラクルンを助けたいというプリキュアらしい思いをずっと抱き、そしてループから抜け出し「明日」へ進もうとした。

 

ループする主人公たちに「変えたかった運命」がそもそもない上に、「何が起きても変わらない事実・プリキュアマインド(造語)」を糧に明日へ前向きに突き進む。そこが他のタイムリープ物と明確に違うところで、プリキュアシリーズじゃないとできなかったことなんじゃないかなと思います。

 

主人公にとってキャラクターの嫌な一面が見えたり、むしろ主人公を追い詰めてしまうことが多い「負のタイムリープ」を扱った作品をそこそこ見てきた俺にとって、このプリキュア映画が描写する「正のタイムリープ」は非常に暖かかった。新型コロナで苦しいこのご時世、というか同じように終わらない一日を繰り返しているような感覚に襲われるこのご時世にですよ、プリキュアが変わらず前向きにそれを魅せてくれたことがとても嬉しいんです。だから2回目の鑑賞時は、星奈達のヒープリチームを送るシーンで涙が止まらなかった。

もちろん本映画は新型コロナを前提に作られたわけではないので、それは正真正銘、俺が勝手に感じてるアレなんですが…。でも作中のプリキュア達がどんなことがあっても変わらず駆けつけてくれるのと同じで、プリキュアという作品自体がコロナ禍でも最終的に変わらない暖かさを我々の目に焼き付けてくれることがどんなに励みになるのか。

 

裏の主役・いちごメロンパン

本映画には、過去のプリキュアシリーズの要素が満遍なく登場する。いわゆるファンサービスというヤツかもしれない。

 

先述の『魔法つかいプリキュア!』要素の他にも、スタプリ出自でP.P.アブラハム監督とかが特に目立ってましたよね。ガッツリ、ループを構成する要素として活躍してました。アブラハム監督、スタプリ最終回では唯一地球に残った宇宙人だったり、扱いが結構特殊でちょっと好きなキャラなので嬉しい。

 

僕が愛してる『魔法つかいプリキュア!』出自のまゆかなとペラペラ猫は残念ながら本当に一瞬だけの登場で台詞すらなかった。それでも彼女達を銀幕で見れたのは嬉しい。*3

はぐたんとニャトランの声優さんはまほプリでも準レギュラーだったので、なんというかまほプリ要素が数えようと思えば数え切れないぐらいある…。

 

そして、期待がかかっていたまほプリチームのゲスト出演は………一応あった!!!!!

現行3チームがプリキュアのマインドを唱えるシーンで全プリキュアの集合カット(※イメージ)があったんですが、そこに一瞬だけ写った…。いやマジで一瞬すぎて中央下のやたら良いポジションにいるフェリーチェしか認識できなかったけど…!

プロデューサーは内藤Pだし…脚本は村山さんだし…これまたMAHOガールズ声付きで出るんじゃね!?ぐらいにはハードル上げてたので、ちょっと肩透かしだったけど、それでも出てくれた…いやでもMAHOガールズもしかしてオールスターズ映画は皆勤賞なのか…十分だよな正直…。

 

まぁそんなことよりですよ。いちごメロンパンですよ!!!!!!!!!

なんですかアレ!?完全に裏の主役だったじゃないすか!!!????

 

ご存知じゃない方もいると思うので一応説明すると、いちごメロンパンは『魔法つかいプリキュア!』の主人公・朝日奈みらいの好物であり、まほプリを象徴するアイテム。そして、まほプリに登場するキャラクター達を繋ぐ「思い出の象徴」でもある。本映画に一瞬だけ登場するまゆかなの友情もいちごメロンパンが関わってくるし、MAHOガールズ達を度々繋ぎ合わせ、たくさんの思い出を作ってきた。

多分この解説だけ見ても、いちごメロンパンがまほプリにおいてどれだけ重要なアイテムかピンと来ないと思うので、是非まほプリ本編の視聴をオススメいたします(ダイレクトマーケティング)

www.netflix.com

 

さて、本映画に登場するいちごメロンパンは「Mofu Mofu Bakery」のパッケージだったので、正真正銘『魔法つかいプリキュア!』出自のファンサービスアイテムだということは疑いの余地はない。ていうかパンフレットにもそう書いてあるので間違いない。すこやか市在住ののどかの朝食になってるのは謎だが、Mofu Mofu Bakeryは移動販売車なので多分すこやか市にたまたま来てて、のどかもそこから買ったんだろう。うん、合点が行くな!

 

さらに本映画ではループで朝が何回も描写されるので、アブラハム監督と同様に、このいちごメロンパンも幾度なく登場するという文字通り美味しいポジション…だけに留まらなかった。なんと、物語の鍵を握るミラクルンの好物らしい。

 アレか?同じ「ミラクル」だもんな!?ミラクルの血が騒ぐよな!?しかも桜の木に宿っている精霊らしいし、桜の木って言ったらやっぱりまほプリだよな!?お前やっぱキュアミラクルじゃねーのか!?何いってんだコイツ。

 

いやここまでならまだ良いんですよ。良いのか?

問題は、のどか達がループから抜け出し、事態が解決した後のシーンです。のどかが校舎の時計を見上げると、そこには和解したリフレインとミラクルンの姿が。良かったね、本当にね。で、ミラクルンさんよ…いちごメロンパン食い続けてる…。

 

「………?確かにすごい特別待遇だけど、好物なら食ってるのは当たり前では…?」と思うでしょう皆さん。でもね、まほプリ本編を見た方ならもうお気づきかもしれないんですけど…ここのいちごメロンパンすごい文脈たっぷりな使われ方なんですよ。

 

まずリフレインが横にいるってところが重要なんですね。彼は間もなく自分が宿る校舎が取り壊されてしまうので同じ一日を繰り返し続けていたわけですが、わざわざ土曜日の7時半~正午にしたのは、ある種では彼自身が「思い出」に囚われていたというのもあるんでしょう。正確には暴走か。この日は、彼が思い出としている当時の学生達が同窓会で校舎に集まる日で、「思い出」に囚われる彼はもしかしたら、正午以降に集まるであろう成長した学生達を見たくなかったのかもしれない。だからその前に時間を戻していた。

最終的にリフレインはスーパーグレースによって浄化されるわけですが、それでも穏やかな顔で回想に出てくるのは過去の思い出。でも昨日を司る精霊としてはそれは普通で、これは暴走という呪いから解かれたと見て良いんでしょうね。

そしてミラクルンと和解し、彼もまた「明日」にも突き進むことができるようになったわけです。学生達が校舎の取り壊し中止を掛け合おうとするのは物語的に結果論かもしれないが、「明日」へ突き進んだからこそ、その新しい道へたどり着くことができたと言える。

彼からすれば、成長した学生達を笑顔で見届けるのも「明日」への肯定で、さらに踏み込んで言うならこれって新しい「思い出」をミラクルン(&示唆されていた改修博物館)とこれから作っていくってことなんですよね。これから楽しい思い出を作っていくというのはパンフレットにも書いてあるから間違いない。

隣のミラクルンが食べているいちごメロンパンは、まさに『魔法つかいプリキュア!』本編におけるいちごメロンパンと同じ文脈で使用されてると俺は考えてるわけです。失恋で一度苦しみ、まゆかなが親友として新たなスタート(思い出作り)を切る第34話「ドキドキ!初恋の味はイチゴメロンパン!?」とかと一緒じゃないですか!?正確にはテーマの補強というかなんというか。

 

ラクルン視点では、いちごメロンパンは和解後のリフレインだけではなく、のどかやヒーリングアニマル達との思い出の象徴と見ることもできる。のどかが半分にしたいちごメロンパンをさらに半分にしてラビリンに分け与えるシーンとかがそうだ。

劇中では描写されていない1~95回目のループで果たしてミラクルンがどれだけヒーリングアニマル達と接触していたのかは不明だが*4、96回目のループ(映画冒頭の追いかけっこシーン)でわざわざヒーリングアニマル達にライトを渡そうとしてたということは、その前の周回からヒーリングアニマル達には世話になっていたであろうからね。そりゃもう思い出は既に詰まっているのかもね。まぁこれはかなり妄想の域出ないですが。

 

というわけでですね、まほプリ民としてはやっぱ、いちごメロンパンがただ単にファンサービスとして登場するだけではなく、それを超えてまほプリ本編を踏まえた使い方をされているのを見て泣いてしまったわけです。ミラクルユニバースとかみたいに雑にMAHOガールズ出されるより全然嬉しすぎる。アレはアレでシュールでおもしろかったが…。

 

のどかが買って、のどかが分け与えて、思い出が作り出された。なので劇場の物販では「のどかのいちごメロンパン」としてグッズが売り出されていたけど(買いました)、まほプリのいちごメロンパンがプリキュアシリーズ全体でも「思い出の象徴」と化したのだろうか。

プロデューサーは『魔法つかいプリキュア!』と同じ内藤Pだし、脚本も同じ村山さんだし、多分いちごメロンパンの使い方に関してはある程度意識していると俺は信じたいです。もし俺の妄想が間違いでなかったら、本当にこの件に関しても感謝を伝えまくりてえ…。やっぱ最後のいちごメロンパンで泣かされちゃうんですよね…。

 

 「イースターエッグの範疇超えてるだろ!!!!!!」というツッコミ待ち?

 

HUGっと!プリキュア』のラストランとしては…

ここまで、この映画をかなりベタ褒めしてきたんですけど、納得いかないところはあるんだよね一応、うん。やっぱハグプリチームの扱いですよ。

いや、ハグプリチームの出番が少なかったとか、キャラ崩壊してるとか、そういう話ではないんです。それはなかったし、全然大丈夫だった。ハグプリ本編の温泉回の後の時系列なんだなと察することができるシーンもあっておもしろい。さあやとほまれがちょっと色々薄かった気はしましたけど…!

何に納得いってないかというと、ミラクルリープの物語的にハグプリチームの設定や文脈は滅茶苦茶相性良いのに、そこが全く劇中で活かされなかったという点ですよね、そこが本当に残念でした。本当に…これだけ…もったいねえ…。ハグプリも同じ内藤Pなんだけど…何とかできなかったのだろうか…。

 

僕はですね、本映画を見る直前にMXでのハグプリ再放送を見終わって完走したばっかだったんです。だからこそ余計気になる。

ハグプリも、みんなの時間を(物理的に)止めて「明日」「未来」を永遠に訪れなくさせようとする敵が登場する作品で、プリキュア達が輝く未来を求めて戦うお話なんです。わかりますよね????????ほぼミラクルリープの筋書きと一緒じゃないですか!!!!!????(言いすぎかもだけど、共通点は多いのは確か)

 

まぁわかりますよ。現行シリーズのヒープリチームがメインとなる主人公だし、のどか達を決定的に励ます役割は幼女先輩達にも馴染み深いスタプリ勢なのは。ハグプリも最近(おじさん感覚)とはいえ一応二年前の作品だからね?

でもさ、せめて「明日」へ行けないヒープリチームを励ます言葉として、めちょっく達から何かしら欲しかったですよね…はい…。いやこの子達の他に誰にやらすんだよって話ですよこれは…。もったいない…本当にもったいない…。しかもこれが恐らくハグプリチームのラストランだから、ファンは余計納得いかないのではないだろうか。応援要素はあったけどさぁ…。

 

しかも、のどか達がタイムリープしている事実を打ち明ける時のハグプリチームの反応というか察しがかなり悪いように見受けられた。せめて未来人であるハリーとルールーから、納得のいくアクションが欲しかったよ…。話を聞いたらまずはクライアス社の仕業と疑うのが自然なのに、それすらなかった…。

 

逆に言えば、最近プリキュアを見始めた層はそういう過去作の要素や文脈を理解しなくても本映画を楽しめるということなので、100%悪いというわけではないのだが、やっぱり先述のいちごメロンパンの扱い方を見ると、最後にメインを張るハグプリチームにそんな感じにしてあげられなかったのか…という残念な思いです。

 

初代や5gogoみたく、主役級で後発の映画にまた登場するかもしれないので、そこに期待するしかないですね…!いやこれまほプリも一緒なんですけど、一体何年先のことになるのやらって感じなんですが。

 

総評として、この映画って先輩プリキュアがハグプリとスタプリチームである必然性はあまりないんですよね。キャラクター関係なく物語自体が単独で完成度高いが、プリキュアシリーズ内であればどのチームでも成立するお話になってるというか。とりあえずすこやか市に観光するとかの目的作れれば良い感じ。

プリキュア歴が浅い人や全く見たことない人に優しいことは優しいので、良い点でもあり悪い点でもあり…難しいよねこの辺…。僕が好きなオールスターズ映画でいうと『スーパースターズ』とは対称的な印象っすね。

 

OPやED

OPはまさかのヒープリ本編の物をほぼ流用。アースがいない頃のバージョンだったり、ビョーゲンズのカットがなくなってたりしてたけど。あ、2番以降はハグプリとスタプリの映像も流用されてたので、まぁ結構別物だったか。

多分、スタッフトークを踏まえるとコスト削減のためなんでしょうけど、大スクリーンでぬるぬる動くのどかちゃん達を見れたのは本当に最高だったので不満なかった。

 

EDはヒープリ本編の前期ED『ミラクルっと♥Link Ring!』。これ曲も映像も大好きなので、やっぱり大スクリーンで楽しめたのが最高でしたね…。

EDは終了したかと思ったらまさかの2番に続き、ハグプリとスタプリチームがぞろぞろと登場!一緒にダンスを始めてくれたぞ!最高!最高しか言ってねえなコイツ!別シリーズのダンスを別シリーズのキャラが踊ってくれるのすごい嬉しいよね。

 

ところで、これ気づいたのもしかしたら僕だけかもしれないんですけど(本当か?)、『ミラクルっと♥Link Ring!』映像の季節の移り変わり(春に集約)とか「リング(循環・ループ)」とかってまさにミラクルリープを象徴してませんか?この曲、ひょっとしてミラクルリープを前提に作ってない?とか考えちゃった。

 

その他雑感とか

・ヒーリングアニマル達は相変わらずめちゃくちゃ可愛いし、ちゆは「走り高跳びイップスペェ!」回を踏まえたかっこいい戦闘シーンを魅せてくれるし、平光はタイムリープの説明がらしくアバウトすぎる上に戦闘中もコロコロ顔芸を披露してくれて良かったし、ヒープリサイドのアレコレは概ね大満足。何より、のどかの大天使っぷりが遺憾なく発揮されていた映画だった…。

・スーパーグレース、デザインや戦闘シーン、劇中歌も合わさって本当に最高。でもタイムリープ物でCVが悠木碧でその強化形態となると、どうしてもまどマギを連想せざるを得ない…。アルティメットのどか…(一文字違い)(まどかはスタプリにいる)

・スーパーグレースが強化形態リフレインを浄化し体内に取り込まれたミラクルンを救出するシーン、よく考えたら構図が完全にメガビョーゲンに取り込まれたエレメントさんを助ける時と一緒なんですね。
パンフレットによるとミラクルンは「エレメントさんとはちょっと違う存在」とのことで、聴診器で声が聞けるあたりからも、種族としては似た精霊なんですかね多分。ポケモンで言うメレシーとディアンシーの関係みたいな…(?)

・雑魚敵(大嘘)の見た目は最初エヴァ使徒を思い出してしまった。なんかいなかったかこんなヤツ…。
ところで2回目の鑑賞で気づいたんですけど、目がちゃんと時計の針になってるんですねこの子達。

・ルールーの頭の時計、今までそんな描写なかったよね!?

・最終決戦、過去の妖精キャラにも全員ミラクルンライトが配られる中、一人だけライトを持たされなかったラテ様…。…四足歩行で持てないから?

・映画内の季節は春だが、よく考えたらそれだとハグプリとスタプリチームの時系列が合わない…。少なくとも追加戦士登場後だし。
オールスターズ映画ではよくあることなので突っ込んだら負けなのだが、とりあえずまた異なる時空がたまたま繋がっちゃったってことで納得しておこう…。

・のどかが母親の写真から校舎の時計を見つけられたのどういう観察眼だよ!

・最終周回の決意決めてボールを拾ったり、水たまりをさり気なく避けるのどかが本当にすき。二の足を踏まないってね!(←使い方違うだろ)

・野乃はな、やっぱり可愛い。コイツはコロコロ変わる表情で生きてる。「花寺のどか」の名前に反応するのも良かった。

・心なしか、戦闘シーンや3DCGのクオリティとかがいつもより高く感じた。公開延期になったからその間にクオリティを上げたのかな?と思ったら作画監督が板岡さんで必要以上に頑張りすぎたらしく、腑に落ちすぎた。そりゃそうなるわ。
ちなみにスタッフトークによると、公開延期中にダビングをし直して、少なくとも音響面はクオリティ上がったらしい。
東映アニメーションのお偉いさんは製作スタッフにもうちょっと時間とかをあげて欲しい(スパン短すぎ)

・監督がプリキュアシリーズ初参加って聞いてビックリした。新しい風だし、初参加ながらちゃんとここまでの作品に仕上げられるのすごいし感服。もちろん他スタッフもすごい。

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というわけで、滅茶苦茶長くなりましたが感想とかは以上です。いつもなら時間なくて感想記事はちょっと手抜きたいところなんですが、この映画に関しては山程語りたいことがあるし、全部語り尽くさないと自分が納得できないので、がんばって書きました。ここまでお付き合い本当にありがとうございます。これで俺もお前も「明日」へ脱出だ!!!!!!!(???????)

ラクルリープをまだ観に行ってない方は是非。もう観に行った方ももう1度いかがでしょうか。

 

来年3月はヒープリ単独映画か…単独映画と言いつつ5gogoがめっちゃ出てくるみたいですけど…。

プリキュアシリーズの単独映画は基本的に本編のテーマを踏まえた物になって欲しいと願ってるので、今のところはそれが見られないのがちょいと残念っすね。「夢」ってヒープリとはあんま接点なさそうなテーマで、むしろ5gogoやプリプリ(これもGoや…)寄り?

とにかく見てみないと何とも言えないのでアレなんですが。アスミちゃん頑張ってね。

 

(16266字)


*1:初代は例外として、5gogoの例を考えるとそうとは言い切れなくなったが。

*2:プリアラなどの過去作からもキャラクターが出演している。

*3:細かいところに突っ込んでしまえば、勝木さんはキャラクターを構成する要素が、怪物が普通に認知されているすこやか市と噛み合わせが悪すぎるので、複雑な気持ちなのだが…。

*4:少なくともリフレインの反応を見るとプリキュアには接触してなかったと思われる。