備考録に。ていうか著作権カテゴリがあるにしては、あんまそれ関係の記事ないからなうちのブログ…。ちょっとは増やそう。なお、この記事の正確性は保証しませんので、そこをご理解の上で見て下さい。
多分、著作権に詳しくない人でもちょっとは聞いた事あるのではないだろうか。「テレビ局はJASRACといった著作権管理団体と包括契約してるので、放送してる番組でJASRACなど管轄下の楽曲が使い放題」と。*1
実際、検索してみるとYahoo知恵袋だとか教えてgooで似たような質問と似たような回答が多く見られる。
…が!よく考えてみればそれはおかしい事がわかる。そう、JASRACは放送用の「公衆送信権」を管理していても、別に「原盤」の権利までは管理していない。
JASRACの包括契約下で行えるのは演奏や歌唱といった行為のみなので、CD音源といった原曲をそのまま流す場合は「原盤権」を管理してる各レコード会社に一々許諾を取りに行かないといけないはずだ。
この辺は昔に書いた記事でも触れたので、よくわからなかった人は時間があれば見ていただきたい。
しかしテレビ番組を見ていると、どこも普通にガンガンと原盤を流している。流す度に一々許諾をレコード会社に取りに行っている…?いや流石にそれは手間がかかりすぎる。
では、あらかじめ特定のレコード会社と契約を結んで使用している…?いやしかし…それだと、音楽番組やリクエスト系のラジオ番組が成り立たない…。
うーん、確かにどうやって版権曲を流してるんだろ…と疑問に思った次第。
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というわけで、そもそもの「原盤権」ってなんだろう?と振り返ってみた。ちなみにボーカル曲の場合、歌唱者による「実演家の権利」も関わってきそうだが、恐らくワンチャンス主義でそこら辺はクリアされているのだろう、多分…。
原盤権はいわゆる「著作隣接権」の一つで、著作権法では「レコード製作者の権利」として規定されている。レコード製作者とはあるが、別にCDやレコード化してる必要はなく、全ての完成した音源(原盤)の著作権者に発生する権利だ。
調べてみると、大まかに6つの支分権に分かれている。
・複製権
・送信可能化権
・譲渡権
・貸与権
・放送の二次使用料を受ける権利
・貸レコードについて報酬を受ける権利
簡単に言ってしまえば、レコード製作者は「複製権」を持っているので、第三者による無断の楽曲の複製に対して(例外はあるが)権利行使ができるという事。
テレビ局が番組で楽曲を利用する場合に引っかかりそうなのは「放映権(放送権)」だろうか。そう、この中にはない。
つまり、著作権法上ではテレビ局は権利者からの許諾なしであらゆる楽曲を放送する事が基本的には出来るという事になる。そこにJASRACといった著作権管理団体はあまり関わっていない。
これで合点が行った。そもそも「許諾を取る必要すらない」という事なので、どおりでガンガン曲を利用できるわけだ。
その代わり、レコード製作者には「放送の二次使用料を受ける権利」がある。著作権に詳しいフォロワーから聞いたのだが、レコード製作者は日本レコード協会を通して、番組で使用された楽曲の使用料を後から請求できるという形らしい。あと歌唱者も実演家として同様の請求権あり。
テレビ局視点だと、無造作に楽曲を利用すれば、その分使用料を払うハメになる可能性が高いので、ある程度は乱用できなくなってるみたいだ。なるほどな~~~…。
さらに調べてみると、同様の疑問を持って図書館で色々調べた方がいたらしく、そのレファレンスが公開されていた。
このページだけで全ての疑問が解決してるやん。
これによると、日本レコード協会が管轄してない楽曲に関しても、使用料をレコード協会から分配してもらえるらしい。へぇ~~~知らなかったでござるよ…。
じゃあ例えばテレビ局は俺に連絡せずに勝手に俺が作ったオリジナル楽曲を番組に使う事も可能で、俺が使用料を求めるなら日本レコード協会とかに申請する必要があるってわけか…?いやそのパターンでも公衆送信権はクリアしないと流せないっすね。どちらにせよ、そんなの一々やってられないし、だからこそ素直にJASRACや日本レコード協会といった団体にそこら辺管理させちゃうってのが楽ってわけですね…!
↑追記、有料販売してる楽曲じゃないと請求できないらしい。
とりあえず、色々勉強になった…。ご教示くださったフォロワーにも感謝ですな。
もちろん、実はテレビ局が個別にレコード会社と契約してるとかそういう線もなくはないんじゃないかなとは思ってるし、実態はこうじゃないのかもしれないけど、実際の著作権法に照らし合わせ「納得」は出来たので良しとする。
テレビ業界に詳しい方がもしいたら色々教えて欲しいでございますね。あ、もし情報が間違ってるとかあればご指摘いただければと思います。よろしく!
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