※素人が書いた記事なので間違ってる記述があればTwitterで教えて下さい。
niconico、というと範囲が広すぎるのでここでは「ニコニコ動画」と「ニコニコ生放送」を指してる物だと思ってもらえば良い。
この記事では例えばnobodyknows+の『ココロオドル』の音源をniconicoで利用すると何故権利者削除されるのか。耳コピ音源なら何故削除されないかみたいなトピックも取り扱う。
[クリエイターさん向け情報]
— ニコニコ@ニコ動公式 (@nico_nico_info) 2019年12月26日
二次創作、著作権、収益化、クリエイター奨励プログラムなど、niconicoのクリエイター支援に関する情報やFAQをまとめたサイトをオープンしました。https://t.co/u7kcp3gyUa
チャンネル開設を検討中の方や動画・配信で収益化したいと考えている方は是非ご一読ください。
国内に限れば恐らく最大手の動画サイトであろうniconico公式がクリエイター向けにこんなページ(特集?)を公開した。ご存知の人はいるかもしれないが、ユーザー離れが進んでいたniconicoは近年サービスの改善にかなり力を入れてる。
恐らくこれもその一環であり、投稿者を呼び戻したり新規層を獲得しようという狙いがあるのだろう。せっかく改善されても言っては悪いがその周知のさせ方がniconicoはド下手だったので、このような施策を行うようになったのは中々興味深い。
著作権好きの俺が最も注目したのは「niconicoで利用された許諾原盤ランキング2019」のページ。後述するが恐らくniconicoのとある強みをアピールするために作られたページだろうか。
それを見て俺はふとこんなツイートをした。
niconico、かなり広く原盤利用が適法にできるという点は他の動画サイトより明確に優れてる点なので広まって欲しい。他の動画サイトだとJASRACと包括契約はしててもそれは演奏とかだけ認められてる事も多く、原盤利用はまだまだ行き届いてない。 pic.twitter.com/fBVIMZhqqs
— koichil (@koichil) 2019年12月26日
特に伸びは意識していなかった。俺はniconicoが昔から大好きの狂信者と言われても仕方ないニコ厨なので、ちょっとはniconicoの良い所がフォロワーに広まったらいいなー程度でツイート。
結果、何故か9,000RTを記録。まさかのバズ。いや正直これは想定してなかった。
いや、本当ここまで何故伸びたのか今でもわからない。まず他の動画サイトが台頭してきてる今niconicoにここまで関心を持たれてるとは全く思ってないし、「音楽原盤」なんて数少ないクリエイター向けでしかも小難しい話は注目されるとも思わないのだ。
というわけで、このツイートに対してはリプライや引用RTという形で俺の元に色々な意見が飛び交ってきた。純粋に「niconicoやるじゃん」的な物もあれば「でもそれ以外はクソ」のような偏見たっぷりの的外れな物も飛んでくる。そこは重要ではなく、気になったのは内容を勘違いしてる人がいる事だ。
助けになるかはわからないが、一応この記事で「niconicoにおける音楽原盤利用」について深堀りしていきたい。
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主要な動画サイトで「演奏」「歌唱」などはわりと簡単にできる
動画サイトと言っても色々ある。niconicoの他にも最も有名な所でいえば「YouTube」がそれに当たるだろう。実際国内で最も動画クリエイターがいるのは恐らくYouTubeであり、その次点でniconicoがいるかいないかといったぐらいか。
実はこれらの動画サイトでは、楽曲をそのまま使用するのではなく「演奏」「歌唱」したりするだけなら適法にしやすい事実がある。
本来、動画サイト上に演奏したり歌ってみた楽曲を適法にアップロードしたりする場合は当然権利者の許諾が必要になるのは言うまでもない。しかし我々のような一般人が一々楽曲の権利者達に許諾を取るのはとても大変である。権利者やレコード会社に連絡をしても返事は普通帰ってこない。
それを解決するのがみんな大好きJASRACである。JASRAC(やNexTone)は日本中の楽曲の権利者から依頼を受けて各著作権を包括的に管理しているため、我々一般人が仮に動画サイトに「歌ってみた動画」などを適法に上げたい場合はJASRACに連絡をしてしかるべき使用料を払うだけで良い。
この過程すらいらないのが「niconico」や「YouTube」といった動画サイトである。
実はJASRACで著作権が管理されている楽曲なら、連絡すらいらない。そのまま手続きなしで「演奏」「歌唱」した動画をアップロードしても適法になる。
どういう仕組みかというと、こういった動画サイトはJASRACと「包括契約」を行っている。niconicoで言えば運営が毎回JASRACに一定の使用料を払っているので、niconicoユーザーはniconicoに動画や生放送を上げる場合に限り、JASRAC管轄楽曲をある程度利用し放題なのだ。
例として、TVアニメ『らき☆すた』のOP曲として有名な『もってけ!セーラーふく』を挙げよう。チョイスが古くてごめん…。
この楽曲の著作権管理情報を検索してみると、赤枠に囲まれてる部分が示す通り「配信」も「歌詞」もJASRACに信託されている事がわかる。
▲音楽権利情報検索ナビ より
つまり、そのJASRACと包括契約をしているniconicoやYouTubeで『もってけ!セーラーふく』を歌った動画や演奏した動画を何の手続きもなしにアップロードするのは権利侵害でもなんでもなく適法と多くは言える。もちろん動画サイトによっては何の楽曲を利用したかの申告は必要になるのでそこは注意されたし。
このようにネットでは「クリエイターの活動を阻害している!」と何かと嫌われているJASRACだが、その実態としては全くの真逆であり、むしろクリエイター達が楽曲をある程度利用しやすい制度を作っているわけだ。
ただしJASRACにも弱点が…
さて、ここまでの文章を読んで気になった事はないだろうか。そう、先程から「演奏」「歌唱」というワードをふんだんに使っている。「演奏してみた」も「歌ってみた」もniconicoやYouTube上では適法に動画を上げやすいというのは説明した通りだが、じゃあ「楽曲をそのまま利用したい場合」は一体どうなるのだろうか?つまり記事タイトルにある「音楽原盤の利用」をする場合である。
ここで言う「音楽原盤」とは、別の楽器で演奏された物でもない、他人が歌った物でもない。簡単に言えば商業的に販売されているCD音源そのままのデータの事。
『もってけ!セーラーふく』であれば例えば第三者が楽曲を独自に打ち込み、独自に歌った動画をniconicoにアップロードするとする。先述した通り、niconicoとJASRAC間の包括契約があるため、これは適法であり権利侵害や規約違反によって動画削除される事はない。
それでは『もってけ!セーラーふく』のCD音源をそのまま動画に利用した場合はどうなるだろうか…?
「JASRACと契約してるなら大丈夫じゃないの?」と思う方々もいられるだろう。実はここに勘違いされやすい大きな落とし穴がある。
実は、JASRACが管理している著作権に音楽原盤の権利は含まれていない。
ここでいう「音楽原盤の権利」とは「レコード製作者の権利(著作隣接権)」のこと。動画サイト上にアップロードする権利で言えばその中の「送信可能化権」が該当する。
▲著作隣接権とは? | 著作権って何? | 著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター より
つまり、どういう事か。音源をそのまま動画に利用したい場合は本来であれば原盤の権利を持っている著作権者(レコード会社等の著作隣接権者)から自分で「送信可能化権」の許諾を一々得ないといけないのである。CD音源の入手手段によっては「複製権」もそうかな。
仮にYouTube上で『もってけ!セーラーふく』を利用する場合、演奏や歌唱はほぼ大丈夫だが、CD音源をそのまま上げると権利侵害扱いになり削除されるという状況が発生し得るという事だ。ここはまず覚えておきたい。
(もしかしたら消されないかもしれないけど)
クリエイターやユーザーの楽曲利用においてJASRACという存在はそこまで万能ではない。明確に弱点が存在するのね。
しかし、niconicoでは…?
実は例に挙げている『もってけ!セーラーふく』なら原盤利用しても適法、つまり消される事は稀。
一体どういうカラクリだろうか。その答えが冒頭にも挙げた、niconicoでの「レコード会社から利用が許諾された音楽原盤」制度である。
そう、niconicoは運営元会社であるドワンゴ(ひいては角川グループ)の持つ広いコネ(?)により、多くの楽曲レコード会社と契約を結んでいる。それにより、国内の動画サイトとしては最大数の楽曲をユーザーが原盤利用する事が可能なのである。すごいね!
ニコニコの原盤使用の許諾楽曲に、ドカッと「仮面ライダー」系の楽曲が入ったらしい。ちょっと見てみただけでも、「SE」とかも含めて入ってるからこれは結構やべぇぞ!!!!https://t.co/jOB6a5bOxe
— ふわっふう(ββ) (@Fuwaffu100) 2019年8月13日
『もってけ!セーラーふく』で検索してみると…
ちゃんと目的の楽曲が登録してあるので問題ない事がわかる。
つまり、『もってけ!セーラーふく』を演奏するでもなく歌うわけでもなく、ただ単に原盤を動画中に利用したい場合は、権利侵害扱いで消されやすいYouTube(例えばの話ね)よりniconicoでアップロードした方が安心というわけ。
特に著作権を気にする人はniconicoにおいて活動しやすいので覚えておくと良い。
なお、当然だがniconico運営が契約していないレコード会社の楽曲はこれまで通り原盤利用が制限されているというのは要注意だ。
一つ、niconicoで有名な例があるので挙げよう。
nobodyknows+の『ココロオドル』という楽曲をご存知だろうか。niconicoユーザー的にはMAD動画に利用されているヒップホップ楽曲として有名だ。
この楽曲のMADが流行していた最初期は、MAD動画がレコード会社の申立で権利者削除されてしまう事が多かった。これはもちろん、niconicoでも『ココロオドル』は原盤利用許諾楽曲に入っていなかったためである。当然それは権利侵害ですよね…。
それ以来、音MAD作者達がこれにどう対応したかというと「耳コピ音源を利用」という手段を使うようになった。
『ココロオドル』の演奏や配信に関する著作権に関しては原盤と違い、ちゃんとJASRACの管轄下にある。この耳コピ音源はいわゆる「アレンジ楽曲(ある種の演奏)」に入るのであろう、niconicoとJASRAC間の包括契約により耳コピ音源自体は適法になるのだ。
それを利用したMAD動画も耳コピ音源の著作権者が権利侵害を訴えない限りは「権利者削除」が発生しないという構図になっている。*1
この例のように、niconicoの原盤利用許諾楽曲に登録されてない楽曲に関しては原盤利用をすると権利者削除される可能性があるので気をつけよう。どうしても原盤の権利者から許諾がもらえない場合は、アレンジ楽曲や演奏楽曲の著作権者に連絡を取り許諾を取るのが近道なのかもしれない。
なんで他の動画サイトでは原盤利用がほぼできないの?
いやまぁ、例えばYouTube上で原盤利用したとして実際に消される可能性ってのはそこまで高くないとは思うんですよね。権利侵害ではあるけど、権利者が見逃すパターンも考えられる。
さらにYouTubeはniconicoより別に優れている点があって、権利者が楽曲を無断利用された場合にその動画に広告を貼る事ができるんですよね。権利侵害を逆手に取って収益化する仕組みがYouTubeには充実している。だからあえて見逃すパターンも考えられるというわけ。
それがあるからniconicoのように原盤利用できる仕組みを整える必要がないってのもあるかもしれない。
あとは、YouTubeがniconicoと決定的に異なる点って俺も指摘されるまで気づかなかったけど「全世界に向けて運営している」ってところがありそうだ。全世界を意識してるって事は権利処理も世界基準で考えなければいけない。そうなると、国内に原盤権を一括で管轄するような組織がない日本では、YouTube側が各レコード会社との契約に目を向けなければならなくなる。まぁもちろんそんな手間はあまりかけられませんよね、いくらYouTubeといえど。
そこにYouTubeとの差別点を見出したのがniconicoであり、角川グループが持つ独自のコネクションを使って広い原盤利用許諾が実現したのかもしれない。niconicoはほぼ海外向けには展開してないので、権利処理も国内だけで考えれば良いから比較的楽なのである。
ちなみに聞くところによれば動画サイト「TikTok」もワーナーやエイベックスといったレコード会社と提携をしてるので、その辺の原盤利用は可能らしい。TikTokがniconicoと競合する事はないだろうからここは前向きに捉えても良さそうだ。
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まとめ
・YouTubeといった動画サイトは多くの楽曲が適法に「演奏」「歌唱」が可能だが、原盤利用は権利侵害になりやすい。
・niconicoは「演奏」「歌唱」だけではなく、多くの楽曲が原盤利用許諾されているので、そのまま音源を利用しても権利侵害になりにくい事がある。
まぁこの二点ぐらいか。
「結局どの動画サイトを利用した方が良いの?」という疑問はあるだろうが、それぞれの動画サイトにはそれぞれの特性があるので必要に応じて使い分けるのがベストという考えだ。
例えば、自分で作曲したりする事ができない人が何かしらの解説動画(ゆっくりとかボイスロイド)やMAD動画に既存の楽曲を利用したい場合は、原盤利用が広くできるniconico上が最適という事になる。何故ならYouTubeでは動画が消される可能性が高いからだ。
逆に自分でオリジナル楽曲を作曲できるという人は、niconicoより羽ばたけるかもしれないYouTube上に動画を上げるのが良いのかもしれない。自分の楽曲を勝手に利用してる動画には広告を貼って収益化を行う事もできなくはなさそうだ。ただniconicoも似たような収益手段(コンテンツツリー)はあるので、結局のところ好みの話になってしまうのかもしれない。
個人的に収益化を意識しないのであれば、やはりniconicoが一番良さそうには感じる(贔屓)
そういえば、冒頭のバズったツイートの反応を見てみると「だからYouTube上じゃなくてniconicoに音声を別途に上げてる人がいるのか」「YouTube上では消されるからniconicoに移ったんだよね」みたいな人も結構いた。俺はYouTubeに動画をあまり上げないのでそういう被害(?)に遭った人がいるというのは全くの初耳だった。
もしかしたらこのツイートが異様にバズったのも、利用者の多いYouTubeで身に覚えのある人が多く、刺さったからなのかもしれない。
YouTubeは正直もう何をしても一定の人気を得られるプラットフォームだ。であれば、niconicoはやはりこういった明確に優れている点を集中的に強化していき、未来のあるクリエイターを生み出す場として機能していくべきであろう。権利侵害をしている同人誌からプロデビューをする漫画家が近年では多くいるように。
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