まぎかる゜火葬場

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感想『アナと雪の女王2』 前作に引き続き歌や映像は魅力的だが…

アナ雪、めっちゃブームだったよね。

公開当時は2014年。ちょうど妖怪ウォッチとかも最盛期だった記憶がある。

 

俺自身はアナ雪の公開中には観に行かず、半年後だったか一年後だったかにどっかの区民館か何かで上映されたのを見ただけだった気がする。

で、5年後の今に続編が公開されたので観に行ったわけだが、正直もう1の内容はほとんど覚えてなかったのでwikipediaのあらすじで復習をした。ハンス王子だけは強烈に印象に残ってたけどw

 

公開から1週間以上経ったはずだが、休日という事もあり映画館は家族連れでほぼ満員だった。流石のアナ雪…。

レリゴーはじめ、近年では「役割からの解放」だとか「女性の進出」を強く推しだしてる気がするディズニー、本作はどんな感じだろうか。

 

※当記事には作品にまつわるネタバレが含まれています。

わかり辛くない…?

シナリオの流れというか…テーマもそうなんですけど全体的に理解が進み辛いなぁ…というのが映画館で見てる時ずっと思っていた事。

 

まず世界観設定というか、物語や登場する要素の前提が「これアナ雪…?」となってしまうので飲み込むまでに時間かかっちゃったよね。精霊だとか戦争だとかダムだとか、前作のアナ雪には存在しなかった物語を構成する新しいパーツがわりと序盤で一気に"口頭"で語られる部分が多いと感じた。

その設定が事前にわかっていれば、そりゃ後は登場人物の行動に注目すればいいだけなので楽なんだけど、今作はそうじゃないので、まずそこが自分には難しい点だったかな。

それらを説明する台詞もかなり長回しだった気もする。当然、初めて見る俺は前提を理解していないので、その説明の台詞を頑張って聞きながら頭の中で状況を組み立てないといけない。同時に俺はそれができなかったのでわりと辛かったですね…。

 

あと回想シーンを一々挟まないで(というか回想できる人物が既に亡くなってる)、「水の記憶」や「氷像」で過去に何があったかを説明するのは世界観的にも良いとは思ったんだけど、なんというかそれらで再現される登場人物の外観が白一色なので物理的な意味で何が起こってるかわかり辛かったんですよね。物語のキーとなるスカーフの模様とやらも色のせいで何とも視認しにくかった事か…。

 

それでいいのかアナ!?

事態を解決に向けるためアースジャイアントを挑発してダムを破壊するように仕向けるアナ。

うん、ダムがなくなった事で結果的にエルサ含む精霊達のパワーが戻り、精霊の怒りも鎮まった。でもさ…アレンデール王国の住人達の事を考えなさすぎじゃない!?

いやだって、結果的に復活したエルサが止めてくれたから良いものの…ダム決壊で王国が洪水に覆われる事はわかってたのに実行しちゃったの!?みたいな。生き残りの傭兵達も納得しちゃうし。

 

せめて「エルサは復活する!止めてくれる!」とアナ側で描写があれば姉妹間の信頼という形でギリギリ納得はできるんですが、雰囲気的にはアナは「エルサはもういない!とにかく突き進むぜ!」みたいな感じだったのでそう思う事すらなかったんじゃないかな…と。要するに観客視点だとヤケクソ気味に見えてしまうんですよね、アナの行動が。

ダムの破壊が精霊達の復活に繋がるというのもアナ視点ではわからないと思うので(俺が見逃してただけでもしかしてわかってたのか?)、その行動が本当に解決に向かうかもわからない賭けすぎるんじゃないかなぁ…と。

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結局テーマはなんだったんだろう?

同じディズニー作品で言えば『ズートピア』とか、それこそ前作も映画鑑賞中に「あ、こういうテーマを伝えたいんだな」ってのはわかりやすかったと思うんだけど、今作は物語を噛み砕くエンディング中ですらそこがどうもわからなかった…。これは俺の理解能力の問題もあるだろうけど。

 

精霊…もとい自然の怒りだとか、人間である国民達を犠牲にする可能性が高くても実行したダム破壊だとか、自然はちゃんと守ろうね!みたいなテーマなのかなーと一瞬考えたけどどうも腑に落ちない…。

 

で、この事をTwitterで言ったらフォロワーから「過去に過ちがあっても今、正しい事をする」がテーマなんじゃないかな?と言われてようやく腑に落ちた。

確かにエルサが氷漬けになる直前に力を振り絞って王国の真実(恐らくアナにとっては受け入れがたい)をアナに伝えるわけだが、それを聞いて一回絶望してしまうわけですね。その後に「今、正しい事をする」と立ち直ってダム破壊に向かうわけですが、そういえばそうだったなと。

 

自然の象徴である精霊の力を弱めるダムを作った、姉妹の祖父が先住民を差別し手にかけようとしたり戦争を起こした、いずれも王国を抱える姉妹が償わなければならない過ちであり、それにどう立ち向かうかみたいな。

 

ただ…だったら結構物語中の尺を占めているクリストフ側のシーンもアナへのプロポーズではなく、そのテーマに絡めた課題を与えるべきだと思うしちょっとチグハグに感じてしまったかな。

それに王国の真実を知って絶望するアナのシーンの直前にオラフの死が挟まっているのも良くない。これでは王国の過去の罪に絶望しているという理解には至りにくく、主にオラフ(とエルサ)の死に対して絶望してるのか?となってしまう、というかなった。オラフのインパクトが強いんだよねやっぱ…。

 

テーマ的な事で言えば、エルサのラストも気になるかもしれない。

前作では「縛られない」「自由に生きる」をレリゴーで強調してたような気がするんだが、今作のエルサはまさかの逆で生まれた時から持った5人目の精霊としての使命を全うするために王国から離れる結末を迎える。つまりある意味では「縛られている」のだ。

これが良いか悪いかは置いといて、近年のディズニー作品はとにかく「自由に生きる」を推しだしていたように見えたので正直驚いた。

例えば「トイ・ストーリーシリーズ」が3までは「与えられた役割を全うすることの尊さ」を特に丁寧に描いてきたのに、続編の4では全く逆の結末を迎えたように。

近年推してる方向性とは真逆の結末、テーマも感じたんですよねアナ雪2。

まぁ前作のレリゴーも実はポジティブな意味では使われていないので、実はそういう意図はなかったりするのかもしれないのだけど…。

www.jigowatt121.com

 

トイ・ストーリー』は俺も特に思い入れの強いシリーズ作品だったが、アナ雪はそこまでではないので(辛辣)、まぁ特にそれがショックだったとかそういう事はなかったですハイ。

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良かった点

まぁなんと言ってもやっぱり歌や映像だよね。アナ雪と言えばこれ。ここは前作から変わらず高い質を保っていたと思う。

アレだよ、レリゴーもそうなんだけど、エルサの吹き替え役の神田沙也加氏の力強い歌声が特に良い…。きっとパッシブで、それでいて綺麗な波形をしてるんだなぁ…と惚れ惚れしてしまうね。

 

吹き替えといえば新しくオラフの声を担当する武内君も良かった。あの強烈すぎる地声から前任と似たひょうきんな声を出せるのマジですごくないですか?声優ってすげえんだな…(語彙力)

劇場は子供も多かったのだが、オラフのギャグシーンはとにかくみんな大笑い。子供向けの作品だろうがわざわざ映画館に出向いて観に行くのは、楽しそうな子供達を見たいがためってのもあるんですよね。

 

細かい所で言えば、氷像として登場したハンス王子がグーパンでエルサに破壊されるシーンが笑った。ハンス王子、なんかおもしろいよねアイツ…扱いも含めて。

というわけで以上。なんかほとんどネガ気味の感想記事になってしまったな…!それ程までにこの作品を噛み砕く難易度が俺には高かったという事です。わかる人にはわかると思うんだけど『デスノート Light up the NEW world』鑑賞後の気持ちと似ている…。いやアレは別の意味でひどかったけどさ。

 

アナ雪の魅力が好きって人には抑えてる所は抑えてる映画だと思うので、観に行って損はそこまでないと思います。

 

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