まぎかる゜火葬場

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映画『フラ・フラダンス』 ベタ貼り感想

核心には触れず、なるべくネタバレなしで書いてます。

 

前々から複数のフォロワーが話題にしていた映画、観に行きました。取っ掛かりとしては、主にそこです。口コミで大きく広がってるわけでもないので、逆に言えば、それがなかったら観ていなかった可能性は大でしたかね…。

 

そういうこともあり、ムビチケは事前に買ってはいたものの、事前情報はあまり追ってなかった。

題材的に「スパリゾートハワイアンズ」が大きく扱われてるんだろうなとか、主演が福原遥だとか、福原遥含めてプリキュア声優が多いだとか、アニメを制作してるところが思いっきり『アイカツ!』だとか、そもそもアイカツ声優率もやたら高いだとか、果てには宣伝大使に『アイカツ!』から本当に星宮いちごを採用してただとか、そんな感じではあった(いや多くない?)

 

まぁそんな感じの距離感で観に行った後、感想をTwitterに書いたので、そのままベタっと貼って残しておきます。

あくまでTwitterに書いた感想なので、記事中の文章として見ると違和感すごいのはご了承ください。

元ツイはこちら。

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フラフラダンス、観終わりました。
正真正銘「フラフラダンス(面倒で入れてなかった中点抜き)」で本当に良かった映画。

販促アニメを作り続けたバンダイナムコピクチャーズ(BNP)が本気で上質な福島PRをするとこうなるのか、という意欲的な側面もあるすごい作品だった。

雑感、ゆっくり書きます。

 

まず映画が始まって目に入り、思わず泣いてしまったのは、圧倒的「福島」の風景。
koichilさんは東京人だし、日本にすらいなかった期間も長かったのでアレなんだが、色々あって小さい頃から福島には何度も行ってるので、映画の中の気持ち悪いぐらいに再現された「福島」への情景に圧倒されるばかり。

 

家や道路の立地、田舎とのギャップが醸し出すあの何とも言語化しにくいかしこまった豪華な室内、空気感が本物の福島そのもので「やべえこれ本気だ」となるしかなかった。

それが見慣れたアイカツっぽい(というかアイカツなんだが…)デザインで動かされているという…。この独特の味…。

 

そして舞台はご存知「スパリゾート ハワイアンズ」。架空の施設とかじゃなくて本当にハワイアンズそのもの。クレジットだとハワイアンズは「協力」と書かれてるけど、協力というにはあまりにも無理があるぐらいに「ハワイアンズ」で、本来ならこういうのはノイズとして「販促」を感じてしまうのだが、

 

そこは一番わかってるBNPなので、「福島はこうなんだ」ではなく、「福島なのでこういうことがありました」というアプローチからキャラクターを描いていく感じで一本のフィクション作品として見やすかった。いや、本音を言えば福島のリアリティ高すぎて、乖離的なのは滅茶苦茶感じましたが…(褒めてる)

 

その「福島にはこんなことがありました」はもちろん3.11が含まれていて、世界観上で大きなウエイトを占めているんだけど、3.11その物はほぼ言及せず、主人公とその関係者の主軸としては3.11で起きた出来事を引きずりながらも前向きに生きようとしている人達だけに焦点を当てている。

 

この辺、キャラクターがわりと被災に関して、ドライに捉えられるような感情表現が多いんだけど、3.11から既に10年経過してるし、実際そんな物だろうと非常にリアリティがある。

そこに本来福島とは関係ない「フラダンス」への奮闘と絡め、福島の頑張り描写の販促っぽさが相対的に減ってるのが上手い。

 

かといって被災に関してキャラクター達が心の傷を負っていないわけがない。引きずりながらも前向きに生きていこうとする複数のキャラクターの、拭いきれない「負」は一見ですぐわからないだけで、細かいところで見せていて、それらが最後に全部集約されていく。

 

抽象表現が多いので確信しきれないが、ラストに主人公が「CoCoネェ」をあの場に持っていかなかったというのは、そういうことだろう。
アレをファンタジーで解釈しないとしたら、明るく見えて、かなりの闇を描いてたことに。

ここは大分、描く過程が納得しなそうな人多そうではあって心配ではあるね。

 

主人公を取り巻く主軸としてはそんな感じで、この映画はそこに新人フラガールチームの他の4人のドラマも描かれるのだが、リーダーとオハナちゃん以外はわりとそれぞれ軸が単独で分離してるので、主軸を進めつつ2時間以内に収めるのは中々苦心が見られた。

 

鑑賞者側としては小さい描写を頑張って拾って、映画を見ながら4人の背景を組み立てる必要がある。

アイカツとかなら1キャラに30分使ってそこら辺描き上げていくんだけど、この映画はそのキャラクター達の「今」を同時進行で一気に進めるので、受け取った作品表現の処理能力が高くないと大変かも。

 

5人とも主人公級のキャラクターと背景を持ち合わせているので、(実現できるかは置いといて)長尺か他媒体で分けたのを見たかった気持ちは否めない。
ムチムチ秋田小町ちゃん(そうとしか表現できない子…)*1とか文字通り映画の尺からはみ出してると思うんですよね…褒め言葉です。

 

作品評価とは全く関係ないんですが、白沢しおんは「めちゃくちゃヒープリの沢泉ちゆにビジュアル似てんな…」とか思ってたら、本当に沢泉ちゆだったので思わず笑っちゃったんだよな(映画を見ればわかる)

 

この映画、中の人的にもキュアカスタード(名前の"ひまわり"も繋がってる…)キュアフェリーチェが姉妹だし、5人チームのリーダーはキュアホイップだし、プリキュア勢としては取っ掛かりが多すぎてちょっと集中できなかったし、アイカツ要素も多い(というかアイカツなので…)ので、なんかこう…。

 

見れば良い作品なのは間違いないが、作品の主軸としては何も知らない色んな人達に見てもらうのは難しい感じはすごくしてて、公式サイトでもプリキュアアイカツへの出演歴載せたり、それどころかキャラデザ+スター宮に宣伝大使になってもらうとか取っ掛かり作ろうとしてるの納得感すごいですね…。

 

https://hula-fulladance.com/character-cast/

というわけで俺が言いたいのは「フラガールハワイアンズ?福島?知らんし!」な人にも、すごく良い映画なので是非見てもらいたいってところで、でもこれだけでPRできるとは思ってないので、本当に難しい…。
観てくれ…頼む…。
#フラ・フラダンス

 

フラフラダンス、溜まった感情をこう…感情的に一気に出す感じの作品じゃなく、喉に刺さった既に痛みが引いているトゲがやっと抜けた、というアプローチで、作中キャラもみんなそんな感じで生きてるので、俺としても滅茶苦茶泣くというよりは、じんわりこみ上げる感じだった。

 

恐らくなんですけど、鑑賞者がどこ出身なのか、どう被災を乗り越えてきたのか、被災の何を見てきたのか、アイカツ的なアイドルアニメ文脈にどこまで理解があるか、とかそういう色々な属性の細かな違いでハッキリと評価が分かれる作品だと思うので、本当にPRが難しいと思います…。

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なんか暗い感じで締めているが、作品としてはとても前向きに見れた良い映画なんで、書いてある通りPR難しそうではあるけど、ぜひ観に行っていただければ…という感じです。

鑑賞者の属性で評価が分かれそう、ということは感想も色々あって当然なので、俺としては色々な視点で見たいぞ!

そして、とてもハワイアンズに行きたくなってきた…トロプリとコラボしてた時に行っても良かったかもなぁ…どっちにしろあの時はスケジュール的に厳しいけどね。


*1:滝川蘭子のこと。映画を見ればその意味がわかる。